半導体素子をパッケージ化せずに提供する「ベアチップ(ベアダイ)」を使用することで、設計の柔軟性やコスト削減の可能性をもたらします。
Central Semiconductorは、多様なディスクリート製品のベアチップ提供が可能で、特に厳しいスペース制約やカスタム仕様において高い評価を得ています。
以下に、ベアチップ(ベアダイ)を使用するメリットや特性、設計時に意識するべきポイントについてまとめております。
ベアチップ(ベアダイ)とは?
ベアチップは、パッケージ化されていない半導体素子のことを指します。
通常、半導体素子は外部環境から保護するために樹脂や金属ケースでパッケージ化されていますが、ベアチップはその保護パッケージがなく、半導体ウェハから切り出したままの状態で提供されます。
ベアチップ(ベアダイ)を使用するメリット・特性
ベアチップは、パッケージ化されていない状態で提供されるため、限られたスペース内での製品設計を最適化することができます。
特に、ハイブリッドIC、センサー、パワーモジュールといったカスタム製品では、そのメリットが一層顕著です。
ベアチップを使うことで、回路が最小スペースに収まり、チップ間の接続距離が短縮されます。
これにより、キャパシタンスやインダクタンスの影響が軽減され、スイッチング遅延が最小化されます。
また、電子回路における電気ノイズも抑えられるため、高周波信号を扱うシステムで特に大きな効果を発揮します。
ベアチップ(ベアダイ)の用途
- 自動車分野: EVやHV車のパワーモジュール、インバータ
- 通信機器: 5G通信機器やデータセンターの高性能モジュール
- 医療機器: 小型化が必要な、診断装置やポータブル機器
- 産業機器: 高信頼性を求められる、制御システムやエネルギー変換装置
具体的な用例
- モバイルデバイスのアプリケーションプロセッサ
- デジタル静止画/ビデオカメラおよびセキュリティカメラ用の画像プロセッサ
- 高速通信アプリケーション用のアンテナ
EV車やHV車のパワーモジュールにおいて、ベアチップは設計の自由度を高めると同時に、熱効率の向上に寄与します。
特に、スペースの制限が厳しい車載機器や通信機器における、Central Semiconductorの高密度設計が求められる環境で、その優位性を発揮しています。
ベアチップ(ベアダイ)製品の導入における考慮点
ベアチップの使用には、組み込み時に特別な配慮が必要です。
特に、製造工程での取り扱いと接続時の注意点を守ることで、製品のパフォーマンスを最大限引き出すことができます。
Central Semiconductorでは、技術サポートを通じて、最適な設計導入を支援します。
ベアチップ(ベアダイ)設計の重要ポイント
1.システム統合後の性能変化に留意
・ベアチップをシステムに統合する際、ボンディングワイヤやリードフレームが追加のインピーダンスや飽和電圧の増加を引き起こす可能性がある。
2.インピーダンスと電圧損失の計算
・材料のサイズと抵抗率に基づいて、追加されるインピーダンスを計算。
・テスト電流を使用し、最終的には電圧損失に変換。
3.並列容量の増加
・リードフレームやボンディングワイヤは、並列容量を増加させ、半導体チップの接合部容量に影響を与える。
4.追加容量の影響
・追加容量が蓄積される電荷量に乗算的な影響を与え、スイッチング速度に影響するため、時間定数(容量・インダクタンス・抵抗)を計算する必要がある。
5.信号伝送特性の最適化
・構造と材料は信号伝送特性を優先し、寄生成分(パラジティック・エレメント)を最小限に抑える設計が重要。
・ボンディングワイヤの長さ・直径・ループ高さや、リードフレーム・トレース材料の厚さを適切に選定。
6.製造装置と工程の特別な要件
・ベアチップは通常のマウンターやリフロー炉での実装が難しく、結線やチップの保護が必要。
– ワイヤーボンディングを行う場合、専用の結線装置や製造工程が追加で必要になります。
– 基板やリードフレームに適切な表面処理や接着方法を施し、安定した接続を確保することが求められます。
– 湿気や酸素を遮断するために、樹脂によるコーティングや金属ケースでの気密封止が推奨されます。
– チップ面積が大きい場合、熱収縮がシリコンに近い基材を選ぶことで、耐久性と熱安定性を向上させます。
7.ベアチップ統合の利点
・フルパッケージ化された製品と比較して、低いインダクタンスと容量が得られ、アナログ、RF、パワーアプリケーションに最適。
・ボンディングワイヤやソルダーバンプ付きチップが短い場合、寄生成分が低減され、システム全体のオン・オフ時間が向上。
技術サポートと導入支援
Central Semiconductorでは、製品設計の段階から導入まで、一貫したサポートを提供いたします。
お客様の仕様に合わせたカスタム製品の相談も可能ですので、ぜひお問い合わせください。
また、放熱設計においては、弊社取り扱いの熱伝導材料(熱伝導シート、ギャップフィラー、グリースなど)も合わせてご提案可能です。
Central Semiconductor製品ラインナップ
Central Semiconductorでは、MOSFET、ダイオード、トランジスタなど、多様なベアチップ製品を提供しています。
以下カタログより、主要製品ラインナップをご紹介しております。
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