ペルチェモジュールの特性値が何を表しているかや、選定に必要な計算方法を紹介しています。
目次
特性値について
ペルチェモジュールの特性値は、吸熱量Qc [W]、放熱量Qh [W]、吸熱(冷却)側温度Tc [℃]、放熱(加熱)側温度Th [℃]、入力電圧値V [V]、入力電流値I [A]で表しています。
ペルチェモジュールのカタログやデータシートには、ペルチェモジュールの特性値として、最大吸熱量Qcmax、最大温度差ΔTmax、最大電流値Imax、最大電圧値Vmaxが記載されています。これらの特性値は、下記の条件での値となります。
Qcmax [W]: 最大電流値Imax、温度差ΔT = 0のとき
ΔTmax [℃]: 最大電流値Imax、吸熱量Qc = 0のとき
Imax [A]: 最大温度差ΔTmax 、吸熱量Qc = 0のとき
Vmax [V]: 最大電流値Imax、吸熱量Qc = 0のとき
温度差ΔTは、放熱(加熱)側温度Th [℃]−吸熱(冷却)側温度Tc [℃]となります(ΔT = Th−Tc)。
これらの特性値は、ペルチェモジュールの動作環境温度によって変化します。一般的にペルチェモジュールは、Imaxの70%付近の電流値で使用されます。また、ペルチェモジュールは、温度差ΔTの値によって吸熱量Qcの値も変化します。
計算式と例
ペルチェモジュールを使用する動作条件の吸熱量Qc [W]、吸熱側温度Tc [℃]、放熱側温度Th [℃]から、ペルチェモジュールを選定する際の目安となる最大吸熱量Qcmax [W]を、下記のような式で求めることができます。
計算例:
必要となる吸熱量Qc =15 W、吸熱側温度Tc =5℃、放熱側温度Th =50℃とします。
カタログやデータシートからペルチェモジュールの最大温度差ΔTmaxは、78℃(放熱側温度Th =50℃のとき)となりますので、最大吸熱量Qcmaxは、
となります。
この計算より、最大吸熱量Qcmaxが45.2 W以上のペルチェモジュールを選定することとなります。
ペルチェモジュールの入力電流値I [A]は、Imaxの70%で計算されています。